おばあちゃん
今日は早番の日。透析室。
いつもどおり目まぐるしく仕事が回る中、
一人のおばあちゃんが透析室にやってきました。
もちろん患者さん。
いつもは透析してる間はぐっすり寝てるし、
透析終了する*1ときも、
色々と技術を要する人のでやらせてもらえず。
要するにいままで接する機会があまりありませんでした。
そんな中、今日初めて透析終了業務をさせてもらえた。
黙々と終了業務をこなし、針を抜いて止血をしてた。
止血をしてる途中、担当の医師がやってきて、様子見がてら翌日の手術の話をしに来た。
明日このおばあちゃんは片脚を切断する。僕も予め話は聞いていた。
先生が帰ったあと、今まで自分は無言だったけれど、
気が付いたらおばあちゃんに質問をしてた。
「明日、手術するんですか?」
脚の切断は、透析患者においてはそこまで珍しくない話で、
透析室業務に就いてまだ3ヶ月経ってないくらいだけど、
もう3人くらいそういう人を見てた。
でもそのおばあちゃんはいかにも弱弱しいタイプの人で、
体も小さいし、腕・脚も細い。手も震えてる。
そんな人が手術を、しかも脚の切断術を翌日に控えてる。
こんなこと書くと上から目線みたいであまりよくないとは思うけど、
弱い者はほっとけない性質なもので、なんというか、こう、応援してあげたい気持ちに駆られた。
おばあちゃんはこう答えてくれた。
「もう足がほっといても痛くって痛くってたまらなくって。
でも(切れば)先生がよくなるって仰ってくれましたから。」
そんな風な話をちょいちょい交わしてたんだけど、
そのあとおばあちゃんがポツリと漏らした言葉。
「80にもなって手術するとは思わなかったなぁ…」
誰に向けたわけでもなく呟いた。
それを聞いたらなんだか言葉に出来ない気持ちになった。
それからは心を込めて何度も頑張ってね、を繰り返した。
おばあちゃんはそれを聞くたびにこっちを見てありがとうと言ってくれた。
嬉しかった。自己満足かもしれないけれど。
たった一回、それもわずか十数分のお付き合いで、
僕の頑張ってね、がどれだけ伝わったかはわからない。
向こうにしたって、本当はどういう気持ちでありがとうと言ってくれたのかもわからない。
でも僕はこれからのおばあちゃんの何かが、少しでも良くなれば、
と心底思った。
−
なんか話が重くなっちゃった。
でも今までと違う形で、もっと仕事頑張らなくちゃなと思った一日だった。
*1:血液返したり針抜いたりする