80と23(おもいよ)

こないだの日記に書いたおばあちゃんがまた透析室にやってきた。
また、といっても透析は基本週3回やるものではあるのだけど。


透析終了時には僕がついた。
普通になんでもない話を交わす。


作業中、おばあちゃんの手が震えてきた。


「いやあねえ、手が震えちゃってもう…ごめんねえ」


ちょいと失礼して指先を触ってみると、とても冷たい。
よくある話なんだろうけど、やっぱりいつも手先は寒いらしい。
どのみち止血するときは離れられないので、空いた片手でおばあちゃんの手を握った。


ちょっと手の中で動く感じはあったけど、だいぶ震えがとまった。


「こんなこと言うのもなんだけど、やっぱり若い子に手を握ってもらうのって幸せだわぁ」


と、いつも苦痛に顔をゆがませてるおばあちゃんが、満面の笑みで言ってくれた。
僕でよければいつでも握ってあげますよ、とお返しした。
心があったかくなった。





その、なんだ。それだけ。